HARUKA LLC

Haruka LLC
コラム2026-04-21

着物デッドストックの現状――眠る伝統素材をどう活かすか

日本の老舗呉服店や問屋の倉庫には、未流通のまま眠る着物・帯・反物が膨大に存在します。着物デッドストックの現状と課題、そして伝統素材を活かした商品開発・再流通の可能性について解説します。

日本の呉服業界が抱える「デッドストック問題」は、業界関係者の間ではよく知られているが、一般にはほとんど伝わっていない。老舗呉服店・染織問屋・紬工房の倉庫には、製造されながら一度も市場に出ることなく眠り続ける着物・帯・反物が大量に存在する。その背景には、昭和後期の「着物バブル」期に製造・仕入れされた在庫が、和装市場の縮小とともに動かなくなった事情がある。

こうした着物デッドストックの問題は、単なる在庫管理の課題ではない。眠る素材には、職人の技術・染料・織の記憶が凝縮されている。廃棄されれば、その技術的・文化的価値は永久に失われる。一方で在庫を抱えたままでは、老舗の経営を圧迫し続ける。再流通・再活用のための仕組みが、業界全体で求められている。

着物デッドストックを活かすアプローチは大きく二つある。一つは「素材としての再活用」。高品質な絹・麻・綿の反物を素材として切り出し、モダンなライフスタイル商品(アンダーウェア・インテリア・レザー代替素材等)の開発に転用する方法だ。もう一つは「価値ある在庫の再流通」。素材の来歴・産地・技法を丁寧にドキュメント化したうえで、サステナブル素材を求めるブランドやデザイナーへ直接供給する「素材バンク」モデルである。

合同会社遙は、共創パートナーである丸屋呉服店(創業120年、千葉県横芝光町)との連携を通じて、この「素材バンク」モデルの実証を進めている。眠る着物・帯素材を整理・アーカイブ化し、来歴情報とともに供給できる体制を構築することが当面の目標だ。着物デッドストックの活用は、老舗の経営改善と伝統素材の継承を同時に実現する、数少ない持続可能な解決策のひとつである。

着物デッドストック活用伝統素材活用和素材商品開発反物活用着物廃棄問題和素材 OEM帯 リメイク 素材